河川
私たちの暮らしの中で身近に存在する”河川”は、私たちの生活に潤いや安らぎを与えてくれるとともに、多くの生物や植物が共生する自然豊かな空間です。その一方で、近年の気候変動に伴う想定外の洪水や局地的豪雨の多発など、突然、私たちの生活を恐怖に巻き込むこともあります。治水の安全性確保はもちろんのこと、河川が有する利水・環境面を含め、多様な機能を発揮させ、その魅力を最大限に高めるコンサルティングを行い、沿川地域の暮らしやまちづくりにつながる”地域を育む川づくり”を支援し、そのプロデュースを実施します。
安全・安心な河川整備-地場に精通したフットワークを活かします-
平成18年7月鹿児島県北部豪雨災害により、川内川流域では甚大な被害を受けました。総雨量1,200mmを超える大雨で、ピーク時には濁流が、さつま町市街地を飲み込みました。以下の写真は弊社、河川技術者が現地にて撮影したものです。
虎居町 中心商店街 浸水状況(ピーク時)
虎居町 右岸部 浸水状況(翌朝)
地域を育む多自然型川づくり
河川は本来、流域住民の共有財産であり、一人ひとりが「川を守り、育てていく」ことが重要と考えます。「安全・安心な川づくり」を必須としながら、自然が川を創るとともに、人間が生活を営むために、適度に川に手を入れることを前提としている「多自然川づくり」を地域協働で推進します。
虎居地区激特事業の石積み護岸(川内川)
(*曽木分水路掘削に伴う建設発生材活用)
薩摩川内市 渡唐口の復元(川内川)
(*旧護岸撤去に伴う建設発生材活用)
良好な河川環境の保全・創出
周囲の景観特性や、河道・河床変動の経年変化を踏まえた上で、水衝部や水裏堆積部、川付け林、瀬や淵を含めた川成を把握するとともに、定規断面に捉われない、河川本来のダイナミズムを重視した河川環境の保全・創出に努めます。
低水水制工による自然再生(桶寄川)
特許第3566850号:杭を用いた床固め工法
及び根固めブロック
ふるさとの川モデル整備(天降川)
河川堤防・護岸の計画設計
近年の気候変動に伴う異常気象や、「ダムに頼らない治水」の考え方を踏まえ、早期に効果が発生できる河道改修が必要とされています。従来、洪水を押さえ込んできた「河道内制御」から、流域で対策を図る「流域内制御」の検討も含め、安全・安心な河川堤防・護岸の計画・設計を行います。
虎居地区特殊堤(川内川)
施工中の推込分水路(川内川)
床止め工の計画設計
河川の縦断的な落差に伴う流速や河床洗掘への対応、河床勾配の安定を図るために、河川の横断方向に設けられる河川構造物です。計画地点の河川状況、地形、地質、流量等から、床止め工の設置位置、断面形状、構造形式、基礎形式、魚道の必要性等について比較検討を行い、最適な床止め工の形式を選定します。
多段式床止め工(甲突川)
矢板式床止め工(大里川)
樋門・樋管の計画・設計
洪水時に、本川水位が上昇し、堤内地側への逆流を防止するために、堤防内部に暗渠構造を通し、川表側にゲートを設置した河川構造物です。計画地点の河川状況、地形、地質、流量等から、樋門・樋管の設置位置、断面形状、構造形式、基礎形式等について比較検討を行い、最適な樋門・樋管の形式を選定します。
野口樋門(天降川)
川畑第一樋門(加世田川)
特許第3208474号:逆サイフォン式樋門(湛水排除設備)
内水解析・内水対策
洪水時に、本川水位が上昇し、樋門・樋管が閉塞された際、長時間の降雨が続くと、堤内地側の自己流量による湛水位が上昇し、内水被害が発生します。既往降雨、既往洪水の資料収集を行うとともに、堤内地の排水系統、LPデータ等を用いた地形把握、内外水位の上昇過程等の内水解析を行い、対象地区における費用対効果やライフサイクルコストを含めた、最適な内水対策を検討します。
吉野山 上げ越し式 排水ポンプ(樋脇川)
LPデータとは
洪水時に、本川水位が上昇し、樋門・樋管が閉塞された際、長時間の降雨が続くと、堤内地側の自己流量による湛水位が上昇し、内水被害が発生します。既往降雨、既往洪水の資料収集を行うとともに、堤内地の排水系統、LPデータ等を用いた地形把握、内外水位の上昇過程等の内水解析を行い、対象地区における費用対効果やライフサイクルコストを含めた、最適な内水対策を検討します。(LPデータ:航空レーザ測量の三次元地形データの通称)
LPデータを活用した内水解析シミュレーション事例
ワークショップを活用した地域協働による川づくり
計画の初期段階から、地域の歴史や文化、ニーズ等を計画に反映させるために、地域住民や関係団体、NPO、行政、学識経験者等を含めたワークショップを開催し、地域協働による「川文化の継承」と、地域に活用される「川づくり」を目指します。
激特事業 虎居地区(川内川)
水辺の楽校(八間川)
かわとまちが一体となった地域づくりの推進(NPOへの支援・連携)
計画の初期段階より、ワークショップを開催することで、既存資源の有効活用や整備後のかわとまちが一体となった利活用手法、維持管理面の検討・提案を行い、地域住民と協働した活動(社会実験)を展開しながら、そのインセンティブを高め、川文化を継承した地域づくりのためのフォローアップ、地域の自立に寄与させます。以下にさつま町のNPO法人ひっ翔べ!奥さつま探検隊と協働で開催しているイベントを紹介します。
さつま町 川原地区 さかなつかみ取り大会
(川内川 激特事業区間)
さつま町のホタル舟を活用した湖面遊覧
(鶴田ダム 水源地域ビジョン推進関連イベント)
地域住民に判りやすい資料作成、合意形成ツールの活用
現況写真と比較したイメージパース図やCG、3Dシミュレーション、模型等の合意形成ツールを活用した地域住民の目線(アイレベル)からの判りやすい資料を作成することで、発注者の説明責任に関するサポートやそのプレゼンテーション等を実施します。
さつま町 虎居地区 激特事業(川内川):現況写真→イメージパース図
さつま町 久富木地区 激特事業(久富木川):3DによるCG→イメージパース図
模型を活用した水理実験・景観対策
水理解析による技術的判断が難しい事例については、必要に応じて学識経験者からのご指導、協働による水理模型を活用した検証に参画しました。また、水理実験後の模型を有効活用した景観対策、完成予想模型を作成し、合意形成ツールとして活用した事例です。
虎居地区河道計画(川内川)に対する水理模型を
活用した検証が九州大学で開催
水理実験後の模型を活用した景観対策の実施
部分的な景観模型の作製
(左:推込分水路、右:虎居地区石積み護岸)
木場地区(川内川)して、水制工による堆積土砂
対策を検証(右:実験後の完成予想模型)